髪結を詠んだ川柳のなかに、十三日に関するものが何句かあります。
十三日は、十二月の十三日のことで、この日は正月にむけて煤払いなど大掃除をする日とされています。
髪結床には町内の男衆を中心に近隣から客がやってきます。客同士の噂話を髪結の親方は聞くともなしに聞いているでしょうし、客と髪結とが噂話に興じることもあり、髪結床には身近な情報が集まります。
値段交渉の末、「おまへはほんとう。こっちは嘘よ」(原文のまま)と言い残して去っていった櫛吉に代わって、鬢五郎の髪結床にやってきたのは、股引姿の男でした。