江戸の髪結床は、1回ごとに結い賃をもらう都度払いだけではなく、ご近所のお得意さんはツケ払いもあったようです。
〇髪結も財布で出るとよく廻り (明三義6)
普段は髪結床で、どっしり構えて仕事をしている髪結ですが、ツケの取り立てのときは、あちこちよく回るという川柳です。財布で出る、のはツケの徴収で出かけることです。
〇髪結はにきびを抜く御まけ也 (明元仁5)
年ごろの客のなかにはにきび面の客もいます。そんな客へのサービスとして、にきびをとってあげたのでしょう。使う道具はおそらく、けっしきという毛抜きで、ピンセットのようにしてにきびを挟んでとったのだと思います。
〇百取るに髪結五度舌を出し (新二十柳20)
百文とは高額です。ツケの徴収額かもしれません。そんな料金を貰うのに、お世辞を5回もいった髪結です。
〇月代のはんこう代と四文取り (三八22)
月代を剃るのに手間のかかる客のようです。この川柳が詠まれた時代はすでに大月代や大額は廃れていましたが、なかには撥鬢、大月代を注文する客がいたかもしれません。
はんこう代、とはいまでいうチップのようなもので、辞典には、法的義務はないがものごとをスムーズにするための金品とあります。強引にチップとして四文をとった髪結でした。
〇金毘羅は湯銭 不動は髪結床 (一一一30)
縁日に祝儀として供える金額の相場を詠んだ川柳です。金毘羅さまへの祝儀はは銭湯代、不動さまは髪結床の結い賃が相場といってます。金毘羅も不動も稲荷ほどではないにしろ江戸の町に多くあった社です。
この川柳から具体的な金額はわかりませんが、銭湯代は8文、髪結代は24文といわれてます。しかし、髪結床のある町によっても、また時代によっても違います。
〇流行風邪 髪結頭痛 湯屋寒気 (八六15)
流行風邪、いまのインフルエンザか。風邪がはやると、髪結床も湯屋も客足が遠のき商売あがったりです。髪結は頭痛、湯屋は寒気に悩まされる。髪結は頭、湯屋は寒暖にかけた川柳です。
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