髪結を詠んだ川柳のなかに、十三日に関するものが何句かあります。
十三日は、十二月の十三日のことで、この日は正月にむけて煤払いなど大掃除をする日とされています。
〇髪結は十三日の姿なり (明八鶴2)
〇髪結は十三日という身なり (安四義3)
煤払いをする身なり、つまり汚れてもいい装いでいる髪結を詠んだ川柳です。
髪結というと仕事柄、身ぎれいにしていたと思うのですが、なかには薄汚れた身なりの髪結がいて、珍しくて川柳に詠まれたのかもしれません。同様に髪結の月代や髷を題材にした、紺屋の白袴的な川柳もあります。
紹介した二つの川柳ですが、よく似た句です。いまでいうならパクリ、剽窃に近い。川柳では、よく似た句が散見されます。
〇あしたでも剃ってくれろと飛車が成り (五37)
この川柳に似た句として、飛車ではなくて、角がなり、という川柳もあります。ほぼ剽窃です。
〇昼過ぎに髪結の出る十三日 (明五松3)
十三日は煤払いを終えてから仕事場の床にでる髪結を詠んだ川柳のようです。
十三日の煤払いという行事は、江戸の町では町内あげての一大イベントだったのかもしれません。
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