2022-06-30

髪結も人の子

髪結も人の子です。人並みに休むときもあるし、歳もとります。

髪結は切なく成るとうらば入り (明四義9)

うらば、は裏場。町内の裏場には便所あり、髪結が大か小かはわかりませんが、便意、尿意を催すと、裏場に行く、という川柳です。髪結も生理現象に勝てません。


髪結は年の寄るほど締りかね (二七23)

髪結も老います。締りかね、は元結をじゅうぶんに締められない。髪結に定年はありません。とはいうものの元結を締めるには力が必要です。元結の一方を歯でくわえるので、歯も丈夫でなければなりません。ぼちぼち隠居の髪結のようです。女髪結も同様で、歯を大事にしたといいます。

別の解釈は、年寄りの髪結は頭が薄くなって自分の元結を締められない。


変な日にばかり髪結休むなり (明五松1)

髪結は遊び人が多く、遊び過ぎた翌日はよく休む、という解釈もありそうですが、この川柳は腕のいい髪結は気まぐれで変な日に休む、とも読めます。おそらく後者の解釈でしょう。


髪結のくるんで来るは急な用 (明五松3)

髪結は仕事柄、剃りたての月代に髷を決めていますが、急な用事で月代・髷に手をかける時間がなく、出かけるときもあります。そんなときは、頭を手拭でくるむ髪結です。


くるむ、を眯(目編に米)むと読み、重大な緊急の用事のとき、目を細めていきんでやってくる髪結、と解釈することもできます。髪結のなかには見回り同心の下働きをしている者もいて、何か重大な情報をつかんで、同心宅に走ったのかもしれません。時代小説好きが喜びそうな解釈です。

 

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明治初期 無店舗営業に移行した女髪結

 令和になって自前の店を持たずに仕事をする理美容師が増えています。フリーランスの理美容師として、シェアサロンを活用したり、業務を受託したり、施設などへの出張理美容を専門にしている人もいます。