2022-06-26

髪結の遣いからし

 江戸時代、貧しい家の娘は食い扶持を減らすために奉公に出されました。

奉公といっても富裕な商家の娘が行儀見習いとして武家に女中奉公するのとは違い、衣食住は保障されているものの、小遣い程度の安い給金で、下働きなどきつい労働をさせられました。


髪結の遣いからしを下女は買い (明三智3)

髪結の遣いからし、とは髪結が使う鬢付け油です。底にわずかに残った鬢付け油を下女が買い求めたのを詠んだ川柳です。

髪結は鬢付け油をたっぷりと取って使います。使い古してたっぷり取れなくなった鬢付け油は仕事には不向きです。そんな鬢付け油をなけなしの給金から安く買ったのでしょう。


下女といっても若い女性です。おしゃれをしたい。おそらく鬢付け油より安い動物性の油を使い髪を整え艶を出すこともあったでしょう。しかし、動物性の油は臭う。やはり植物性の鬢付け油でおしゃれをしたいのが女心です。


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