唐櫛は舶来品で江戸時代は高級品だった、と前回紹介しました。
『唐櫛屋は二十三屋』(https://kamiyoroku.blogspot.com/2024/08/blog-post.html)
この唐櫛については、『近世風俗志』(『守貞謾稿』喜多川守貞)に詳しい。
『人倫訓蒙図彙』を引用し、
唐から渡来した櫛で、大坂長町でも作っている、
と紹介しています。
守貞さんは「今は来舶あるをしらず」と書いています。渡来当初の江戸時代初期は高級品だったようですが、江戸中期には国内でも製造するようになったようです。
唐櫛とは、竹製の梳櫛で、背の両側に歯を植え込んでいるのが特徴です。両歯の櫛です。歯を納める鞘が付随していて、両側の歯を使い分けることができます。梳歯の間隔に違いがあり、使い分けたのでしょう。
梳櫛には歯の間隔によって、粗歯の梳櫛、中歯の中櫛、密歯の梳櫛(透櫛)がありましたが、唐櫛一本で二つの梳櫛の役目が果たせたわけです。
もっとも守貞さんは、一方の歯が欠けたときに、鞘を嵌め変えて、もう一方の歯のほうを使う、と解説しています。
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