2024-04-08

元禄中、髪切はやる

 『武江年表』(斎藤月岑、今井金吾校訂、ちくま学芸文庫)の元禄年間の年表に、「元禄中、江戸并諸国 髪切はやる」とあります。

一行だけの記述ですが、元禄年間(1688-1704)に髪を切るのが江戸や諸国で流行した、となっています。


『武江年表』は年ごとに出来事を簡潔に記載した年表です。幕末・明治を生きた斎藤月岑が江戸時代の江戸の歴史を年表にしたもので、古い時代の出来事は引用元を明記した記載もありますが、「髪切はやる」にはありません。


この一文では、髷を切って総髪にしたのか、それとも剃って坊主にしたのかわかりません。

17世紀の江戸は、大月代、長刀など伊達者は特異な風俗をしていました。その延長で髪を切って奇抜な意匠にしたのかもしれませんが、何ともいえません。


『武江年表』余話

『武江年表』には、寺社関連や天変地異、当時の著名人の死去のなどが多く記載されています。天変地異による災害とともに多いのが火災です。「火事と喧嘩は江戸の華」といいますが、『武江年表』には火災情報が頻繁に登場し、風水害や地震などの天変地異と合わせて、そのたびに多くの人が命を落としています。


100万都市の江戸に日本各地から生活物資が送られ、江戸は大消費地でした。災害が起こるたびに、材木などの建設資材は消費されましたが、なんといっても消費されたのは人命かもしれません。農村の次男、三男、二女、三女らが生活を求めて江戸にやってきては、命を落としていった、そんな状況が垣間見える『武江年表』です。


0 件のコメント:

コメントを投稿

注: コメントを投稿できるのは、このブログのメンバーだけです。

セルフ、専属理美容師、大多数は理美容室を利用

 理美容という仕事はいつ始まったのでしょうか?