2023-06-08

ヘアスタイルの多様化とパーマネントの衰退

 パーマネント小史 4

パーマネントが衰退した原因は複数の要因が重なってのものです。

一つはヘアスタイルの多様化です。ヘアスタイルの多様化の背景には女性の社会進出、ライフスタイルの変化があります。またセルフ用の美容機器、美容家電の普及も考えられます。

パーマネントが普及した要因の一つにマルセル・アイロンが一般家庭に普及していたことがあげられますが、パーマネントが衰退する要因の一つに家庭で使う製品の進歩と普及が考えられるのは皮肉なことです。


島田髷や丸髷などの日本髪はもともとは女性がセルフで行うのが習慣でしたが、江戸時代後期から明治、大正、昭和初期にかけて、結髪の技を持った女髪結が行う、プロの仕事になりました。洋髪も当初はマルセル・アイロンを使いセルフで行っていた女性が多くいましたが、電髪が登場しプロの美容師が行うようになりました。そしてウエーブやカールを手軽に形成できる美容機器・美容家電が登場すると、セルフ回帰がおこります。髪仕事はセルフとプロが拮抗しながら進化していくものです。ヘアカラーも同様です。


日本髪・束髪の女髪結の時代から、電髪・パーマネントのパーマ屋の時代、そしていまは美容師の時代へと変わってきました。

1960年代にヴィダル・サスーンのカットテクニックが世界的に注目され、日本の美容師もワンレングスやボブ、レイヤーの技法を習得しました。それまでの髪を削ぐ技法から切る技法へと進化し、表現するヘアスタイルも豊富になりました。また1990年代には茶髪ブームが起こり、ヘアカラーを美容室で染める女性が増えます。


パーマネントが衰退するまえから、美容業界はその業容を進化させました。

パーマネントをかける女性は減少しています。それに代わる技術としてヘアカラー、カット&ブローが急伸し、パーマの売上げ減少をカバーしています。また、21世紀になるとジェンダーレスが浸透し、理容店の顧客だった男性客を取り込む美容室が増えています。


全盛期に比べれば三分の一以下に落ち込み、いまも衰退が続くパーマネントですが、なくなることはありません。多様化するヘアスタイルのな一つとして、ウエーブやカールをあしらったヘアスタイルはこれからも続くはずです。ただし以前のようなパーマスタイルが一世を風靡することはないでしょう。


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