2022-08-18

十筋右衛門は、すだれ頭?

 金紙七髷結(きんがみはねもとゆい)より

この章では髪がテーマになっています。

…髪のすくなく、かれがれなる事の。是れ見よと、引ほどき給えば。かもじ、いくつか落ちて。地髪は、十筋右衛門と、うらめしそふに。御泪に、袖くれて…


御梳(おかんあげ)として仕える一代女に、奥方が髪の薄いことを告白します。

私の髪は少なく、枯れがれしています。これ見よと、髻をほどいてみせると、かもじがいくつか落ちました。入れ髪のかもじで、髪の体裁を保っていたのです。


十筋右衛門(とすじうえもん)というのは、いまでいうなら簾(すだれ)頭、何本かの髪筋で頭皮を覆う程度だったのです。泣きくれる奥方でした。


『好色一代女』が描写しているのは江戸時代前期です。薄毛に悩む女性はその当時からいたのがわかります。薄毛にはさまざまな原因がありますが、髪結が抜け毛の原因になることもあります。髻に強い力をかけるために抜けてしまうのです。いまのポニーテールはげがこれと同じ原因です。


髻の部分が薄くなると、髻の位置をずらして結います。すると薄毛の範囲が広がり、薄毛部分が拡大することになります。

ところで、十筋右衛門のほかに六筋右衛門という表現もみられます。十筋あった毛筋がさらに減ったのでしょうか?


いつの時代も女性にって髪の毛は大切な存在なのは変わらない。


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