金紙七髷結(きんがみはねもとゆい)より
この章では髪がテーマになっています。
…髪のすくなく、かれがれなる事の。是れ見よと、引ほどき給えば。かもじ、いくつか落ちて。地髪は、十筋右衛門と、うらめしそふに。御泪に、袖くれて…
御梳(おかんあげ)として仕える一代女に、奥方が髪の薄いことを告白します。
私の髪は少なく、枯れがれしています。これ見よと、髻をほどいてみせると、かもじがいくつか落ちました。入れ髪のかもじで、髪の体裁を保っていたのです。
十筋右衛門(とすじうえもん)というのは、いまでいうなら簾(すだれ)頭、何本かの髪筋で頭皮を覆う程度だったのです。泣きくれる奥方でした。
『好色一代女』が描写しているのは江戸時代前期です。薄毛に悩む女性はその当時からいたのがわかります。薄毛にはさまざまな原因がありますが、髪結が抜け毛の原因になることもあります。髻に強い力をかけるために抜けてしまうのです。いまのポニーテールはげがこれと同じ原因です。
髻の部分が薄くなると、髻の位置をずらして結います。すると薄毛の範囲が広がり、薄毛部分が拡大することになります。
ところで、十筋右衛門のほかに六筋右衛門という表現もみられます。十筋あった毛筋がさらに減ったのでしょうか?
いつの時代も女性にって髪の毛は大切な存在なのは変わらない。
0 件のコメント:
コメントを投稿
注: コメントを投稿できるのは、このブログのメンバーだけです。