2022-06-06

しくじる髪結

 髪結床の客がさまざまなら、髪結もさまざまです。いまのように資格が必要ではない時代、同じ髪結の親方でも玉石混交だったようで、仕事にしくじる髪結を詠んだ川柳があります。

乱鬢に成って髪結追回し (明五義4)

結った元結が緩かったようで、髻が緩み側頭部の鬢が乱れてしまった客が怒って、髪結を追いまわしている様を詠んだ川柳です。結ったのは廻り髪結かもしれません。


髪結を怖い頭で追い歩き (傍三20)

剃りそこなって頭に傷を負った客は執念深い。


上下で髪結叱り付けられる (安五礼1)

裃を着て改まった席にいく客を剃りそこなってしまい、叱りつけられている髪結です。


髪結を立派ななりで叱って居 (明三智3)

立派ななり、というからにはどこかの儀式に出かけるのでしょう。その前に寄った髪結床で剃りそこねの目にあった。髪結が叱られるのも仕方ありません。



髪結床懲りたかへんえへんなり (天二梅2)

何かしくじったのでしょう。こっぴどく叱り付けられた髪結は、せいへん、せいへんと謝っています。えへんは、上方言葉で「せいへん」のことらしい。


剃り下げて二十五文になった髪結銭 (一五六18)

剃りそこなって、値引きすることもあったようです。この川柳は江戸後期に詠まれた句で、当時は32銭が髪結銭の相場でした。


0 件のコメント:

コメントを投稿

注: コメントを投稿できるのは、このブログのメンバーだけです。

ヒゲを当たる

 「ヒゲを剃る」ことを「ヒゲを当たる」ともいいます。