元結を締めて髷を整えれば髪結の仕事は終わりますが、その前に客に仕上がり具合を確認してもらうのは今もむかしも変わりません。技術者が自己満足で仕上げては、お客様の不興をかうことになります。
〇仮り元結い掛けて髪結引き合わせ (明六桜2)
元結を締める前に軽く結んで(仮元結いを掛けて)、鏡で客に髷の状態を見せて確認している様を詠んだ川柳です。
〇根揃えをして髪結探らせる (明七礼6)
元結の根揃えの位置によって、鬢やタボの厚みが変わってきます。商人はタボを厚く、武士はひっつめてタボを薄くしていたといわれ、たいていの時代劇はこれを踏まえて役者はカツラを装着しています。
この川柳では、仮に根揃えをして客にタボの厚さをこのくらいでいいのかを聞いている様を詠んだ句です。
〇髪結も親爺の時はすかして見 (宝十二義5)
「すかす」にはいろいろな意味がありますが、ここでは「少し離れて」といった情景を詠んだのでしょう。客の町内では偉い親爺かもしれません。髪結が髷を結ったあと、その出来具合を少し離れて確認している様です。
〇髪結の手ばなれ髷の脈を見る (一二七109)
この川柳も上と同様です。髷を結う手を少し離れて、髷の具合を確認している様です。
〇髪結は手合わせの時屋根を見る (宝十三智4)
髷を結い終わると、最終確認です。手合わせ、つまり合せ鏡で見せるのですが、そのとき髪結はそっぽの屋根方向を見ている、という川柳です。客と目が合うのを避けたシャイな髪結なのか、形式的に手合わせをしているのか、わかりません。
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