客商売の髪結は親切丁寧が基本のはずですが、なかには荒っぽい髪結もいたようで、、
〇髪結床先ず手拭で横殴り (明三満2)
髪結床は髭や月代を剃る前に、沸かした湯に浸した手拭を髭や月代の伸びた毛にあて、毛を柔らかくしてから剃ります。その動作が荒っぽかったのでしょう、熱いて手拭で顔面を横殴りされた客はたまりません。そんな情景を大袈裟に詠んだ川柳です。
〇髪結床毛をかなぐってぶっつける (明五松3)
かなぐるは、搔きむしる。元結を切った髪を掻きむしっているのか、毛受けに落ちた毛を掻きむしっているのか、わかりませんが、髪結の親方は機嫌が悪そうです。単に仕事が荒っぽいのを表現したのかもしれません。
〇その機嫌ではと髪結怖がられ (八7)
髪結も虫の居所が悪く機嫌の悪いときもあります。そんな髪結は客にとっては怖い存在だったかもしれません。別の解釈では、どこかで一杯やってきたのか、見世の奥で酒を呑んだのか、酔って上機嫌となった髪結を詠んだのかもしれません。酔っぱらった髪結に剃刀をあてられるのは怖い。
〇腕限りなぐるは除夜の髪結床 (一五六7)
「なぐる」とありますが、殴るのではなく、手を抜くことの意味合いで使われています。
除夜の大晦日は大忙しで、手抜きして客をさばいたのでしょう。
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