暇をしている髪結がいる一方、忙しくしている髪結もいます。
忙しくしている様を詠んだ川柳です。
〇髪結の元結喰わえて忙しさ (武十六13)
毛梳きや月代剃りは小僧や中立ちという職人に任せ、髪結の親方は最後に髷を結って仕上げます。忙しいときは次から次へと仕上げなければなりません。適当な長さに切ってある元結を口にくわえながら、仕事をする髪結の親方です。
〇繁盛さ櫛の歯を引く髪結床 (一三七32)
髪結が髪を結うにはまず、客の元結を切って、髷の髪をザンバラ髪にし、梳きます。この作業は毛束を整える役目のほかに、毛に付着した汚れを取り除く目的があります。鬢付け油を使って髷を結うので、汚れはかなり付着します。目の粗い歯の櫛でざっと汚れをとったあと細い歯の櫛にかえて、さらに梳きます。
櫛の歯には汚れがびっしりと付着し、歯詰まりの状態になります。そんな歯詰まりになった櫛の歯を引いて歯にこびりついた油汚れを取り除く作業を詠んだ川柳です。
〇地主死去髪結質屋目を回し (六似4)
地主が死ぬと店子らも参列して大きな葬式が行われます。葬式に参列するには身なりを整えなます。質屋で質入れしていた喪服を引き出し、髪結床で髷を結うのが貧乏長屋の住人です。髪結床も質屋も目が回るほど大忙しになります。
〇初鰹一本さばける髪結床 (安四宮2)
江戸時代の一時期、初鰹人気が出て鰹1本の値段が異常に高かった時代がありました。そのころ詠まれた川柳で、繁盛している髪結床は儲かる、をたとえた川柳です。
繁盛する髪結は腕がいいのはもちろんですが、それだけでは繁盛しません。客への気遣い、接客・接遇が大切なのはいまもむかしも変わりません。
〇人の気を結って髪結流行る也 (七五6)
この川柳、秀逸。
【関連余禄】暇な髪結
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