2022-06-11

髪結床の毛受け

 切った髪や剃った毛は毛受けに収めます。廻り髪結の鬢盥には毛受け盆がセットされていて、客が毛受けを持って毛を受けます。髪結床では地紙で受けたようです。毛受けに決まりはなく、要は毛が散らなければ何を使ってもかまわなかったのが髪結床でした。

髪結のたれを地紙で受けて居る (一〇五10)


地紙は扇や傘にはる紙で、江戸の中ごろには地紙売りが江戸の町を売り歩いたといいます。その地紙を毛受けに使ったようです。手に持ちやすいノートぐらいの四角い紙で、後の処理がしやすかったと思われます。


髪結も毛受けは客の手を遣い (宝十宮2)

この川柳では、毛受は地紙なのか毛受け盆なのかわかりませんが、毛受けは客が持つのが常で、髪結は客との共同作業でした。


髪結床地紙へ首を乗せて剃り (安六宮2)

月代を剃るとき、あるいは髭を剃るとき客が手に持った地紙に首を出して髪結に剃ってもらう、そんな情景を詠んだ川柳です。


釜敷の四角なを置く髪結床 (一二九31)

毛受けは毛受け盆でも地紙でも、毛を受けられれば結局なんでもいいわけです。この川柳は四角い釜敷きを使って代用しているのがわかります。


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ヒゲを当たる

 「ヒゲを剃る」ことを「ヒゲを当たる」ともいいます。