髪結床に集う客は、女好きな客ばかりではありません。
〇髪結所喧嘩が済んで油虫 (明六梅3)
江戸の華といえば喧嘩と花火といわれるほど、喧嘩は多かった。町火消は近場の町単位で組織され、喧嘩も町単位で勃発する大喧嘩もありましたが、些細な喧嘩もありました。喧嘩を終えた仲間が行きつけの髪結床に集まって、喧嘩の首尾を話し合っていたのかもしれません。油虫は、たむろする、のたとえです。同じたとえでも、ゴキブリとはちょいとひどい。
〇髪結床取るに足らざる物語り (一〇五21)
〇髪結床安い相談するところ (明五信3)
たむろしている連中が、どうでもいいことを相談をしています。いまの床屋政談につながる情景です。そんな無駄話を楽しむところが髪結床でした。
〇絵を書いた障子は無駄の会所なり (安六仁4)
髪結床の障子には、いろいろな絵が描かれていました。
〇髪よりは無駄を言うのが多い也 (安六信3)
安い相談をしていたのは客ばかりではありません。髪結仕事そっちのけで無駄話に参加する髪結の親方もいました。
どうでもいい安い相談が相場の髪結床ですが、たまにはまともな相談をすることもあります。
〇首数級溜まる物日の髪結床 (一五一40)
家主ら町内を仕切る人が何人か集まって、祭礼などの段取りなどを相談することもあったようです。髪結は町内の会所としての役割も果たしていました。
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