2021-11-08

大日本理髪師名鑑 には2割ほどの理髪師を掲載

 大正2年に発刊された『大日本理髪師名鑑』には1万5千人を超える理髪師の名前が掲載されています。

時期はややずれますが、大正9年に行われた日本初の国勢調査で、理髪・理容業者は14万5863人います。理髪・理容業とは、理髪は理髪業、理容は女性相手の髪結業といまの美容業に従業する人たちです。大正9年には男性の髷を結う髪結はすでに理髪業になっているので、髪結といえば女髪結のことです。


理髪・理容業者14万6千人の男女比はほぼ半々です。理髪業に従業する人の大半は男性ですし、髪結・美容に従業しているのは女性が大半です。

『大日本理髪師名鑑』に掲載されている女性は数えるほどしかいません。


以上を前提にして大雑把に計算すると、名鑑に記載されているのは、理髪業者の約2割ほどになります。

『大日本理髪師名鑑』を発行した大日本美髪会は、理髪技術と衛生消毒の講習を行う、理髪業界の啓蒙団体の色彩が強く、名簿に掲載された人たちは大日本美髪会の活動に賛同した人たちです。


大日本美髪会が衛生消毒講習に入れたのは、明治の中ごろ婦人束髪会が日本髪の非衛生ぶりをさかんに糾弾していたことも背景にあるようです。大日本美髪会では公衆衛生の医者を役員に迎えて、技術の講習ととも衛生消毒の講習を行っています。

この会に参加したのは、新しい技術の習得と、衛生消毒法を学ぶ意志のある当時の先進の理髪師でした。


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