2021-09-29

王朝絵巻のすぐ隣で悲惨な庶民の生活

 【余談】

平安時代というと、清少納言や紫式部が描く王朝絵巻を思い浮かべる人が多いと思う。優雅で、きらびやかな世界も確かにあったのだろうと思います。しかし、きらびやかな王朝絵巻のなかで生活した人はごく一部の人たちでしかありません。

大多数のその他の人は絵巻の世界とは無縁な貧しい生活を送っていたはずです。飢饉があれば食べ物にもこと欠き、飢えに苦しみながらその日の生活を送っていました。


平安時代に限らず、奈良時代の王権時代、古墳時代のヤマト王権時代、鎌倉、室町、戦国、そして江戸時代の武士の時代も同様です。一握りの支配者は富に任せて優雅な生活を送っていましたが、下々の人々は戦乱におののきながら、その日暮らしでした。


どうも貧しい人々のほうに目がいってしまいます。自分が貧しいからかもしれません。

下々の生活というのは、確かなことはなかなかわかりません。支配者ら上層部の人たちの生活については、物品や文書史料などが残されており、後世になってもある程度は推測できるのですが、下々のものは歴史の彼方に忘れ去られてしまってます。



平安時代、王朝絵巻の世界のすぐ隣で、貧しい人たちが糞尿を垂れています(餓鬼草紙、上)。糞箆(くそべら)で、尻を拭いています。おそらく糞箆は使いまわしていたのでしょう。あるいは手で糞をぬぐい取って、手を洗っていたかもしれません。王朝絵巻に登場する高貴な人たちは、用便したあと、どうしていたのでしょうか? 貴重品の紙を使っていたかもしれません。おそらくそうでしょう。雅びな貴人が糞箆など使うのは想像したくありません。


歴史というと、政治史や事件史、経済史、文化史が中心に記述されていますが、人品卑しい小生は下世話で身近な生活に興味が向いてしまうのです。


そういえば戦後、昭和30年ごろまでは、ノミやダニ、寄生虫が身近な存在でした。王朝絵巻の貴人たちも、それらに悩まされていたのは想像できます。光源氏もきっと、ノミやダニ、寄生虫に悩まされながらも優美な生活を送っていたのでしょう。


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