『髪結の亭主』という不思議感満載のフランス映画のあらすじを紹介しましたが、女性理美容師の夫は皆、髪結の亭主です。
ですが皆が皆、妻の髪結に食べさせてもらっているわけではありません。
ただ昭和の時代までは、髪結さんのなかには、途方もなく稼ぐ人がいて、髪結さんと結婚した夫のなかには、自分の稼ぎの少なさに仕事を続けるのが馬鹿らしくなってやめてしまった人がすくなからずいました。
仕事をやめて店の経理や事務などを手伝ったり、店の掃除を日課とする亭主もいましたが、中には髪結道具の販売や器具の開発製造をしたり、講習活動を手伝ったりする御仁もいて、夫唱婦随ならぬ婦唱夫随で成功した夫婦は少なからずいます。
もちろん、なかには髪結の亭主よろしく、道楽にうつつをぬかす御仁もいます。その道楽で名を成す亭主もいました。
髪結の亭主はヒモではありませんが、食べさせてもらっている身分です。髪結さんも気性の強い女性が多く、遊び人を承知で亭主を養う器量のある人もいます。
妻に食べさせてもらっている御仁の話を聞く機会がままありますが、それなりの苦労があるようです。浮気は厳禁なのは当然にしても、「若いころはいいけど、この年になってお勤めはつらいものがあります」とこぼす御仁もいらっしゃる。「これが必需品です」。そういってポケットから取り出したは、〇〇マムシドリンクだったりして。
髪結の亭主もいろいろです。
髪結の業界では、髪結の亭主のことを戸籍上の髪結の亭主とわけて「髪亭」と呼んでます。「髪亭」、緩い生き方で、馬鹿にしつつも、どこか羨ましい。
さすが平成、令和の時代は、途方もなく稼ぐ髪結さんはいなくなり、当然「髪亭」もほぼ消滅してしまいました。
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