2021-04-16

『髪結いの亭主』

 『髪結いの亭主』というフランス映画があります。死んだ妻の帰りを髪結の亭主が一人で踊りながら待つ、不思議な感覚の映画です。


日本で髪結いの亭主といえば、「妻の稼ぎで暮らす夫」(『広辞苑』)で、ヒモに近い存在でしょうか。ヒモには強制的に働かせて金品を金を巻きあげるイメージがあるので、ヒモよりは「左団扇」(安楽な暮らし)に近いのかもしれません。


映画「髪結の亭主」のフランス原版は「Le Mari de la coiffeuse」ですが、髪結の亭主の仏語は「Mari de coiffeur」、英語は「The hairdresser's Husband」。これらの言葉にも、日本語と同じような意味合いがありそうです。


映画『髪結いの亭主』は1990年のフランス映画。監督パトリス・ルコント。


あらすじは(「ウィキペディア」より)

アントワーヌは回想している。


12歳の夏ノルマンディーで母の手編みの水着で遊んだことを、石鹸とコロンの匂いに包まれた理容室、シェーファー夫人の理容室に通って髪結いを妻にすると決めたことを、それを告げた父に平手うちにされたことを。


中年の頃、イジドールから譲られたサロンで客を待つ美しい髪結いマチルドを見つけ、調髪してもらったその場で求婚したことを、ささやかな結婚式のことを、常連客のモルヴォワシューと婿や、飛び込みの客が店に来る様を。


友達も、子供も、仕事も要らない。酒も、煙草も、旅行もしない。大切なのは、このサロンで、マチルドだけ。平穏な10年が過ぎた。


マチルドは言った。「ひとつだけ約束して。愛してるふりは絶対しないで」


雷雨の夕刻、愛を交わしたマチルドは、買い物に行くと言って雨の中を出ていき、増水した川に身投げした。


もうマチルドがいないサロン。

ひとり、いつものようにクロスワードパズルをする。客が来た。子供の頃から時折するように、中東の歌に合わせて我流の踊りを披露した。「妻はもうじき戻ってきますから」と言ってクロスワードを続ける。


写真は『髪結いの亭主』(デジタルリメイク版)

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