2024-08-05

LGBTQと美容業

 性的少数者のLGBTQの人たちへの理解が世界的に進んでいますが、理美容の業界は、他の職業に比べると、LGBTQの人たちが多い業界かもしれません。

いまでは、自らカミングアウトしLGBTQの人の来店を歓迎している理美容師さんがいますが、昭和の時代は違いました。当時はLGBTQは否定される存在でした。少なくと奇異な目でみられていました。カミングアウトなどはとういて考えられず、LGBTQの人たちは世を忍んで生きていた時代でした。


結い上げアップスタイルで講習会はいつも満員という著名な先生がいました。Nさんといいます。空手もたしなむ武闘派的な一面もあったそうですが、ある日の講習で躓いてトレードマークのサングラスが外れたら、入念なアイシャドーが引かれていて、受講生はびっくり仰天した、という話が伝わっています。いっときは業界でも面白おかしく話題になったといいますから、ご記憶の美容師さんはいらっしゃるかもしません。

この話、昭和と記憶していますが、もしかしたら平成に入っていたかもしれません。


そういえば、表彰式の会場で受賞者の名前は名簿では男性名なのですが、そこにいたのは見た目、女性でした。思わず係の人に本人かどうか尋ねてしまった。本人でした。これは令和の時代の話になります。


また聞き、伝聞を含めると、この手の話は枚挙に暇がありません。なかには噂話の類もありますが、真実だった噂話もあります。


江戸で結髪の技を教えた甚吉さんは、自分は男だと認識していなかった人と伝わっています。歌舞伎の女形付のかつら師から結髪の手ほどきを受けた甚吉さんは、遊女の髪を結っていた年季明けの年増女にその技を教えたのですが、自分を女と認識していたので、平気で遊郭に出入りし、遊女らに接していたといいます。

江戸の女髪結の祖は、LGBTQの甚吉さんでした。


ただし、江戸の女髪結でLGBTQの人は甚吉さん以外、伝わっていません。明治以降、女髪結が全盛にんってからもLGBTQの人の存在は伝わっていません。明治後期になると女髪結と併存して美容が興ります。男性で美容の仕事をする人は希少ですがいました。しかしその人がLGBTQの人かどうかはわかりません。史料はもちろん、伝聞などの情報がまったくないからです。


美容の仕事とLGBTQの関係については、美容は力仕事ではないので就きやすいのかと思ったこともありましたが、力仕事をしているLGBTQの人もいるそうで、それは関係ないようです。


美容業界はLGBTQの人たちが多い業界かもしれない、と書きましたが、単なる先入観に過ぎない。


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