2024-04-23

ヒゲを当たる

 「ヒゲを剃る」ことを「ヒゲを当たる」ともいいます。

江戸っ子はサ行の発音が不明瞭、不正確で、「そる」と「する」がごっちゃになって、「する」は「金をする」、つまり「金をすって文無しになる」に通じることから、サ行の「そ」を避けて、「あたる」と言い換えた、といいます。(諸説ありますが、この説が有力です。)


この説では「ヒゲをあたる」は江戸発祥の言葉で江戸独特のようですが、戦後、関西でも使っている人がいました。江戸から各地に広まったのかもしれません。


「ヒゲを当たる」に言い換えたのと同じように、「スルメ」を飲み屋では「あたりめ」と言うこともあります。

忌み言葉を避けて別の言葉に言い換えた言葉はいろいろあります。

「葦(あし)」⇒よし(葦)

「芦原」(あしはら)⇒吉原

「擂り鉢(すりばち)」⇒あたり鉢

「刺身」⇒お造り

などなど。


「ヒゲを当たる」は江戸時代に誕生した言葉のようですが、当時の男性は月代を剃っていました。「月代をあたる」と言っていた可能性はありそうですが、江戸時代後期に書かれた文献は「月代を剃る」、「月代す」といった表記が散見されます。書き言葉としゃべり言葉は違うのかもしれません。


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