2023-10-24

昭和モダンガール

 日本女性の洋装化の先駆けとなったモダンガール。モダンガールといえば大正期の「大正モダンガール」が知られていますが、実際は極めて少数でした。

絵は昭和5年(1930)に発表された「ほろ酔い」というタイトルの木版画です。作者は、浮世絵師、日本画家、版画家の小早川清画伯(1899-1948)。


大正の次世代、「昭和モダンガール」を描いた絵です。

カクテルグラス、指輪、腕時計、たばこ、ネックレスと、当時のモダンガールにふさわしいしつらえです。髪は緩いウエーブ、口紅、細めのまゆ毛、シャドーでアイメークしているようです。


絵が描かれた昭和5年ごろには洋装のモダンガールが多くいたのかというと、そうでもありません。まだまだ少数派でした。ただこの頃から洋装化が女性に広がり始めましたようです。

洋裁学校が増え、伝統的な白塗りメイクから肌色メイクが好まれるようになり、そして電髪によるパーマネントが普及しはじめました。日本女性の洋装化は昭和10年以降になって、服飾、メイク、そして髪の三つの要素が密接に関連しながら急速に普及しました。ちょうど日本が戦時体制に向かう時期です。戦時体制で女性が男性の役割を担うようになったことも、女性の洋装化を後押したと考えられます。


「ほろ酔い」は小早川清画伯の「近代時世粧」というシリーズの最初に登場した絵画です。以降、「化粧」、「爪」、「瞳」、「黒髪」、「口紅」と続く美人画を描いていますが、洋装美人は「ほろ酔い」だけで、あとは和髪の美人絵です。

昭和5年はまだ洋装女性は少なかった。


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