2023-08-27

第1回国勢調査にみる「理髪業理容業」就業者数

 大正9年(1920年)に我が国初の国勢調査が行われ、当時の理美容業の就業者数が公表されました。

「理髪業理容業」職種として、男性7万4749人、女性7万1114人となっています。

職業分類としては「理髪業理容業」と括られていますが、理髪業は主に男性客を相手にする職業で、いまの理容業の前身です(いまでも理髪業、理髪師で通用します)。理容業は主に女性客を相手にする女髪結と、いまの美容業になります。合わせて14万5863人が「理髪業理容業」に就業していました。


理容業は、ファイシャルなどいまのエステに近いメニューも行う、女性にとって新しい職業として注目され、当時は理容と称していました。国勢調査では理容業として女髪結を包括した表記になっていますが、大正時代はまだ女髪結が主流でした。


理髪業は江戸時代の髪結から続く男性中心の職業です。とはいっても全員が男性というわけではなく、少数ながら女性の理髪師もいました。明治30年代ごろまでは女理髪師は珍しい存在で新聞ネタになるくらいでしたが、『大日本理髪名鑑』(大正2年刊)には女理髪師の名簿が記載されています。大正9年には1割近くはいたかもしれません。


「理髪業=男、理容業=女」と、男女で割り切れませんが、理髪業の就業者数は「男性+若干の女性」と理解できます。


国勢調査は府道県で集計されています。最多は東京府の2万3人です。

次いで大阪府の1万3376人、兵庫県7937人、福岡県6693人、愛知県5800人と続きます。

最小は沖縄県の621人です。沖縄県が女性が7人と群を抜いて少ない。女性の髪風俗が本土と異なっていたのがうかがえます。


大正9年の日本の人口は5596万3053人です。「理髪業理容業」就業者1人当たりの人口は384人になります。2020年国勢調査では理美容就業者1人当たりの人口は234人です。当時といまとでは業務の内容も社会状況も違うので単純には比較できませんが、当時のほうが顧客対象人口は多かったのは確かなようです。


第一回国勢調査は内地だけの調査で、このほか朝鮮や中国の租界地に居住する日本人は多く、そこで働く「理髪業理容業」就業者も少なからずいたはずです。

それと反対に、日本で「理髪業理容業」に就業している外国籍の人もいました。『大日本理髪名鑑』には横浜の南京町(現・中華街)で理髪業を営んでいた清国人の名前が見られます。彼らは日本人を対象にした国勢調査には含まれません。


戦前の国勢調査で職業調査が行われたのは初回と第三回(1930年)、第五回(1940年)の10年ごとになりますが、いづれも内地が対象でした。


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