2022-03-21

篠田鉱造さんの百話シリーズ

 篠田鉱造さん(1871-1965)の著作には、『幕末百話』『明治百話』『幕末明治女百話』『銀座百話』など一連の百話シリーズがあります。

明治28年に報知新聞社に入社し、明治35年(1902)から報知新聞に江戸、東京の古老らから聞きた話をコラムとして連載したのがこのシリーズのはじまりといいます。さまざまなジャンルの出来事などを取材した人の語り口で記述しています。


百話シリーズに掲載された話は、体験した人の話やその子弟らの話で、当時の実態の一部を垣間見ることができます。できれば、取材した人物のプロフや取材日時などの基礎的な情報があれば、より確かで信頼性が増したはずです。


『髪余禄』でも髪に関係する話を紹介しました。当時の髪結、女髪結の仕事ぶりの一端を知ることができますが、かなり特異な例といえます。当時の髪結の仕事の全体像はまた別物です。


百話シリーズは、当時でもユニークな事例を好んで取材したきらいがあります。事実の一つであるのは確かですが、全体像ではありません。そんな認識をもって読む必要があるのが百話シリーズです。ただ内容は生々しいだけに面白く読めます。


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