日本髪でタボのことを上方、畿内ではツトと呼びます。タボは江戸、東国での呼称です。
タボは後頭部の髪をたわませで作ります。タボが出現する前は長い髪を背中に垂らしていましたが、タボにしてまとめあげることによって、髪型のデザインの可能性が広がるとともに、衣服の汚れ防止にも役立ちます。17世紀後半から18世紀ごろにかけて普及しました。普及に一役買ったのがタボを支えるタボ差しという道具です。素材にクジラのヒゲなどを使っていたといいます。
タボ差しの名称も地域によって異なります。タボ差しは東国での呼称で、畿内から西国ではツト差し、土佐ではツト張り、加賀ではツトこうがい(笄)と呼んだ、と『嬉遊笑覧』は『物類呼称』を引いて紹介しています。
同じものでも地域によって名称が異なるのは、江戸時代には普通にあります。藩は独立国家に近く独自の文化が発達したことが背景にあるようです。藩境にある山の呼び名が違う例もあるそうです。
髪結の文化も地域性が高い。タボ、ツトに限らず、髷の名称が地域によって違う例は多くあります。また名称は同じでも髪型が違う例もあるので、ややこしい。
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