生締(なましめ)は、歌舞伎で使うかつらの髷の一つで、鬢付け油で硬く固めた髷と知られています。
硬く固めた、とありますから、鬢付け油でも木蝋を多く含ませ、松脂などを加えた油かもしれません。
『歌舞伎用語案内』(https://enmokudb.kabuki.ne.jp/phraseology/)によると、
同じ生締でも、役によって、髷の太さ、高さ、長さ、曲線の具合などが微妙に変わります。たとえば、助六の場合は、髷の根もとの立ち上がりがひときわ高く、髷の先端の切り口がやや太く短く仕上げてあります。
と紹介しています。
さらに、生締をする役は、立役(男役者)にとって憧れ、とあります。
この生締髷、歌舞伎の世界だけのものかと思ったら、そうではないようです。
江戸の常火消、ガエンが好んでした髷、と三田村鳶魚さん(1870-1952)は『江戸っ子』に書いてます。
常火消は町火消よりも早い慶安3年(1650年)に創設されています。ガエンが活躍したのは宝永元(1704)年に10組となり、十人屋敷、十人火消と呼ばれるようになってからだと思われます。
生締という髷はガエンが先なのか、歌舞伎の髷をガエンをまねたのか、はっきりとはしないのですが、おそらく後者だと思われます。
東京消防庁のホームページの「消防雑学辞典」にガエン、常火消のことが紹介されています。
太田櫛朝の『江戸乃華』を引用して、
極寒といへども邸の法被(はっぴ)一枚の外衣類を用ひず、消火に出る時は、満身の文身(ほりもの)を現はし、白足袋はだし、身体清く、男振美しく、髪の結様、法被の着こなし、意気にして勢よく、、、、
ガエンは男ぶりがよかったようです。髷の結い方も勢いがあった、らしい。この結いざまが生締と三田村鳶魚さんは指摘していますが、残念ながら引用元の紹介はありません。
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